裁縫や手芸に使われるゴムは、種類やサイズがたくさんあってどれを選べばよいか悩んでしまうこともあるでしょう。
大きく分けて2種類ありますが、それぞれ縫い付け方にも違いがあるのをご存じでしょうか。
今回は、ゴムの種類と用途、サイズの違いや縫い付け方などについて解説します。
1.裁縫・手芸に使うゴムの種類
裁縫、手芸で使うゴムには丸ゴムと平ゴムの2種類があります。
丸ゴムは断面が丸い形状をしています。ゴム糸を中心にして、その周りを糸で覆ったものです。一般的によく売られているサイズは約1.2~4.5㎜あたりです。
平ゴムは断面が平らな形状をしています。サイズは約2~300㎜ほどと幅広く、種類はコールゴム・織ゴム・編みゴムの3つがあります。
1‐1.コールゴム
コールゴムは、製紐機でゴム糸を並べ、ループ状に組み上げて作ります。
サイズが「㎜」ではなく「コール」で表記され、例えば4コールだと4本のゴム糸で製造されたという意味です。
ゴム幅は約2~20㎜と平ゴムのなかでも幅が狭く、厚みが薄いのも特徴でしょう。
ゴムを見せる表使いではなく、ゴムを布で覆うインゴムとして使われることが多いコールゴムは、肌着やベビー服などに多く用いられるほか、ワンピースやブラウスのシャーリングゴムにもよく使用されます。
1‐2.織ゴム
織ゴムは、ニードル織機で糸のなかに横巻ゴムを入れ、織りあげて製造します。幅が約7~300㎜と豊富で、コールゴムや編みゴムに比べると厚いのが一般的です。
表使いにもインゴムにもでき、カジュアルウェアのウェストゴムや袖口・裾に、ストレッチテープとして使用されたりします。
また、手芸にもよく使われます。
1‐3.編みゴム
編みゴムは経編機を使い、経糸のなかに横巻ゴムを入れて、編みあげて製造します。
編みゴムは速乾性に優れているのが特徴です。引っ張った時に、向こう側が見えるほどの薄さで通気性が良く、乾燥が早くなります。
編みゴムの幅は、約5~200㎜ほどとなっています。春夏の薄手の衣服や手芸、マスクゴムなどにも使われます。
2.丸ゴムと平ゴムの用途の違い
丸ゴムと平ゴムがどのようなものに使われているのかをご紹介します。
2‐1.丸ゴムが使用されているもの
丸ゴムは表使いが多く、身近なアクセサリーや服飾品などに多く使われています。
- ヘアアクセサリー
- マスク
- パーカーのフードや裾
- リュック など
2‐2.平ゴムが使用されているもの
表使いにもインゴムにも幅広く使われる平ゴムは、衣類のほか、雑貨などにも使われます。
- 洋服のウェスト、袖口・裾
- 下着
- マスク
- 帽子
- ランチベルト
- 手帳 など
3.ライクラファイバーという表記
裁縫用・手芸用のゴムを選ぶとき、「ライクラファイバー使用」と表記されている商品を見かけることがあるかと思います。
ライクラファイバーは、国内では東レ・オペロンテックス株式会社が製造販売しているポリウレタン弾性繊維です。
ライクラファイバーを使用したゴムにはつぎのような特徴があるので、購入時の参考にしてみてください。
- ドライクリーニングによるゴムの劣化が少ない
- 耐久性に優れているので、たるみやゆるみを起こしにくい
- ゴム紐のあとが付きにくく、肌に優しい
- マルチフィラメント糸の使用で、ミシン針による糸切れを軽減
ただし、塩素系漂白剤はゴムが劣化する恐れがあるので使用を避けてください。
4.丸ゴムと平ゴムの縫い付け方の違い
丸ゴムは衣服のインゴムとして使用されることが少ないですが、その理由をご存じでしょうか。
平ゴムはその形状から体にフィットしやすいのに対し、丸ゴムは体に触れる面が小さいため、食い込みやすく、形状が原因で着心地にも違和感が生じてしまいます。
衣服を着たときにゴムのあたる部分が食い込んだり、ゴロゴロとして着心地が悪かったりすると、着ていて落ち着くことができません。
そのため、衣服のインゴムには、フィットしやすい平ゴムが多く使われているのです。
平ゴムをウェスト部分などで輪にする場合は、ゴムの端同士を重ねて縫い付けると見た目もすっきりとして、肌に合わせたときに違和感がありません。
丸ゴムはその形状から端を縫い合わせるのが難しいため、輪にするときは結ぶのが一般的です。
また、ゴムを切ったあとに先端の糸がほつれてきて困ることもあるでしょう。
平ゴムの場合、切った先端を折り返して、先端部のそばを直線縫いで往復すると簡単にほつれ防止になります。
ヘアアクセサリーに丸ゴムを使うときは、ゴムの先端をはさんで止める「ツメ付き留め金具」を使用すると、結び目を作らずきれいに見せることができます。
ヒートカットと呼ばれる処理法もあり、ライターやヒートペンで先端を軽くあぶり癒着させることで、ほつれを防止できます。
この方法は丸ゴム、平ゴム両方にできますが、燃えやすい天然系繊維のレーヨン、綿などには使えません。
5.まとめ
最近のゴムはデザイン性にも優れており、たくさんの選択肢があります。選ぶ楽しさもありますが、目移りして迷ってしまうこともあるかもしれません。
そのようなときにゴムの種類や用途などを知っておくと、購入の際に役立つでしょう。
さらに、ゴムの種類によって縫い付け方に違いが出るところにも注目してみると、面白いのではないでしょうか。
私たちが普段着ている衣服には多種多様なゴムが使われています。
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